「サーバー・プロセッサの互換性グループ」 についてです。
Oracle VM Server (Xen ハイパーバイザ)のライブマイグレーション は、
異なるモデルの CPU を搭載した OVS の間で実行すると失敗することがあります。
※基本的には CPU の Family と Model がそろっている必要があるようです。
そこで、OVS を 「サーバー・プロセッサの互換性グループ」によって
搭載 CPU の種類ごとにグルーピングすることで
まちがって禁断のライブマイグレーションをしてしまうことを防止できます。
Oracle VM ユーザーズ・ガイドリリース 3.2.1
6.7 サーバー・プロセッサの互換性グループ
http://docs.oracle.com/cd/E40528_01/b71928/vmusg-svrpool-cpu-comp.html
6.7 Server Processor Compatibility Groups(英語)
http://docs.oracle.com/cd/E35328_01/E35332/html/vmusg-svrpool-cpu-comp.html
サーバー・プロセッサの互換性グループ の確認
OVMM のサーバプール ではなく、
サーバプールをまとめる「Server Pools」フォルダの Perspective で
「Server Processor Compatibility」を選択すると確認できます。
互換性グループの設定は、
サーバプール単位ではなく、OVMM 全体で管理されているようです。
OVMM が OVS を検出(Discover Servers...)したときに、
CPU ファミリー&型番(Model)ごとに自動的に互換性グループが作成されます。
そして、検出された OVS は自動的にグループに追加されます。
上の画面にもあるように、検出されたばかりの
まだどこのサーバプールに所属させていない(Unassigned Servers の) OVS も
該当する CPU の互換性グループに自動追加されます。
実際に OVS にログインして CPU 情報を見てみると、
デフォルトで作成される互換性グループ名と Family / Model が一致しています。
「Default_Intel_Family:6_Model:23」グループの4台中の2台
[root@ovs326-1 ~]# cat /proc/cpuinfo | grep -e model -e family | sort -u
cpu family : 6
model : 23
model name : Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU E8400 @ 3.00GHz
[root@ovs326-2 ~]# cat /proc/cpuinfo | grep -e model -e family | sort -u
cpu family : 6
model : 23
model name : Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU E8400 @ 3.00GHz
「Default_Intel_Family:6_Model:58」グループのOVS
[root@ovs326-5 ~]# cat /proc/cpuinfo | grep -e model -e family | sort -u
cpu family : 6
model : 58
model name : Intel(R) Core(TM) i3-3217U CPU @ 1.80GHz
「Default_Intel_Family:6_Model:69」グループのOVS
[root@ovs326-6 ~]# cat /proc/cpuinfo | grep -e model -e family | sort -u
cpu family : 6
model : 69
model name : Intel(R) Core(TM) i3-4010U CPU @ 1.70GHz
互換性グループが安全装置となるため、
デフォルトでは、OVMM で異なるモデルの CPU 同士ではライブマイグレーションできません。
たとえば下記のような理由で、ライブマイグレーション先として
OVS が選択として表示されなくなります。
Server: ovs326-5, and server: ovs326-1, have CPUs in different compatibility groups: Default_Intel_Family:6_Model:58, Default_Intel_Family:6_Model:23.
ただし、互換性グループは追加作成できます。
異なる CPU 同士でもライブマイグレーション可能なことが確認できた OVS を
新規作成した互換性グループでまとめることができます。
サーバー・プロセッサの互換性グループ の作成
互換性グループ作成での設定項目は、
グループ名(Group Name)と 説明(Description)だけです。
CPU のモデルなどの指定はしません。
そして、その互換性グループに所属させる OVS を選択します。
ちなみに、OVS が所属できる互換性グループは1つだけなので、
別のグループにOVSを所属させた場合、もとのグループからは自動的に外されます。
CPU 種類混在の互換性グループでライブマイグレーション
ためしに、CPU の異なる OVS を 同じサーバプールにまとめて、
一つの互換性グループに所属させてみました。
そうすると、OVMM でライブマイグレーションを実行できるようになります。
下画面では、VM (oel5a-vm04)を、CPU が異なる OVS(ovs326-3、ovs326-5、ovs326-6)
をまたいで ライブマイグレーション してみました。
互換性グループが異なる場合は
そもそもライブマイグレーションが開始できませんでしたが、
同じ互換性グループに含めることでライブマイグレーションを
開始できるようになりました。
ただし、上の例だと「Completed」になっていますが失敗したりもします。
CPUモデルが異なる場合は、ちゃんと検証したうえで
互換性グループの変更をしたほうがよさそうです。
他プロダクトとの違い
VMware vSphere では EVC(Enhanced vMotion Compatibility)という機能があり、
CPU の違いをハイパーバイザで吸収(VM に見せる命令セットを制限)して
ライブマイグレーション(vMotion)しやすくしているようです。
Enhanced vMotion Compatibility (EVC) processor support今とのところ Oracle VM では EVC のような機能はないようです。
http://kb.vmware.com/kb/1003212
異機種間でのライブマイグレーションに限っては、
挑戦的に利用シーンを増やして運用性を上げるより
安全にライブマイグレーション出来るようにグループ管理したほうがよいように思えます。
以上、互換性グループの話でした。
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